大判例

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東京地方裁判所 昭和46年(借チ)2121号 決定

〔主文〕申立人が相手方に対し金五〇万円を支払うことを条件に別紙目録記載の賃借権を東京都墨田区向島三丁目一四番七号永田良に譲渡することを許可する。

〔理由〕(本件申立の要旨)

1 申立人は昭和三三年頃相手方から別紙目録記載の土地(以下本件土地という)を木造その他の堅固でない建物を所有する目的で賃借し、同地上に木造瓦葺二階建居宅、一階四四、一一平方米、二階二〇平方米(未登記)の建物を所有している。

2 申立人は右建物を本件土地賃借権とともに主文掲記の永田良に譲渡したいが、土地賃借権の譲渡につき相手方の承諾がえられないので、これに代る許可の裁判を求める。

(当裁判所の判断)

1 本件の資料によると、申立人は相手方から本件土地を別紙目録記載の約定で賃借し、同土地上に申立の要旨1に記載の建物を所有していることおよび申立人が本件土地賃借権を永田良に譲渡しても相手方の不利になるおそれがないことが認められるので、本件申立は、これを認容すべきである。

2 附随処分

鑑定委員会は本件土地の更地価格を五五〇万円(三、三平方米当り約三三万円)、借地権価格を四一五万円(三、三平方米当り約二五万円)、建付借地権価格を三九五万円(建付減価率5%)と査定したうえ、本件土地近隣において借地権取引に附随して授受される名義変更料、更新料の慣行率、申立人が本件借地契約に際し支払つた権利金、借地権の値上り利益、経済的賃料と実際賃料との差額等を総合勘案し、財産上の給付額は六〇万円が相当であるとしている。

当裁判所も本件許可の裁判をするに当り、当事者間の利益の衡平をはかるため申立人に財産上の給付を命ずるのが相当と認めるが、その額についての前記鑑定委員会の意見は、借地権の譲渡にともない借地期限が延長されることを前提とする点で問題である。すなわち、借地権譲渡につき賃貸人が任意に承諾する場合は賃貸人も契約の存続に異議がなく、新借地人のために借地期間を延長し、それに応ずる金銭等の授受がなされるのが通例であろうと考えられるが、本件のように、相手方が期限到来とともに更新拒絶を希望している場合には期間延長の附随処分によつて相手方の右の機会を奪うのは相当でないと考える。そうすると、右意見はいわゆる更新料を考慮している分だけ高額であると考えられ、右の点その他諸般の事情を考慮し、財産上の給付額は本件土地の借地権価格(前記鑑定委員会の意見による)の約一二%に当る金五〇万円とするのが相当と認める。

(河村直樹)

目録

(賃貸借契約の内容)

1 目的土地

東京都墨田区東向島一丁目一〇四番三一

宅地 五四、九〇平方米

2 当事者

賃貸人 相手方

賃借人 申立人

3 目的

非堅固建物所有

4 期間

昭和三一年一一月二〇日から二〇年

5 地代

一ケ月 金二、二五〇円

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